「三陸産だから大丈夫」「有名な産地だから安心」——牡蠣を選ぶとき、そう思ったことはありませんか? 実を言うと、私もかつてそう考えていた時期がありました。でも、現場に通い続けるうちに、産地名はあくまで入口でしかないと気づくようになりました。
シェフの坂東です。ケラッセ東京を開業して8年、業界経験は30年になります。三陸の牡蠣を扱い続けてきた立場から、今日は「仕入れの裏側」を正直に話してみようと思います。
こんな方におすすめ
- ✅ 東京でおいしい牡蠣を食べたいけれど、どの店を選べばいいか迷っている方
- ✅ 産地名以外に、牡蠣の何を見て選べばいいか知りたい方
- ✅ 生牡蠣だけでなく、焼き・蒸しなどいろいろな牡蠣料理を楽しみたい方
- ✅ シェフのこだわりや仕入れの判断基準に興味がある方
- ✅ 新宿・若松河田エリアで落ち着いて魚介を楽しめる店を探している方

産地名は「スタート地点」でしかない
「三陸産牡蠣」という言葉を見ると、なんとなく安心感を覚えますよね。私も三陸の牡蠣を使っていますし、三陸という産地そのものを信頼しています。ただ、三陸だからといって、いつでも同じ状態の牡蠣が届くわけではありません。
牡蠣の味は、海の水温・塩分濃度・餌となるプランクトンの量によって毎年変わります。同じ生産者さんの同じ筏(いかだ)から獲れた牡蠣でも、早春と晩秋ではまったく別物と言っていいほど味が違う。産卵前後でも身の充実度が大きく変わります。だから私は仕入れのたびに、産地名ではなく「今この牡蠣がどういう状態か」を確認することから始めます。
具体的には、殻の重さ、開けたときの身の張り具合、海水の香りの立ち方。口に含んだときの甘みの深さとミルキーさのバランス。これを自分の舌で確かめてから、今週メニューに出せるかどうかを判断します。電話一本で「いつもの」と頼んで仕入れが完結する、ということは基本的にありません。
三陸の牡蠣という素材が産地によっても変わることについては、産地によって変わる三陸牡蠣の味わいの魅力でも詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。
産地名だけでは牡蠣の良し悪しは分からない——そう感じてきたなら、次に気になるのは「今の季節にどんな牡蠣が入っているか」ではないでしょうか。LINE友だち追加をすると、季節メニュー情報やイベント・キャンペーン情報が届きます。さらに、今だけ生牡蠣10個盛りが半額になる特典もついています。
生産者との関係が、仕入れの「精度」を上げる
私が三陸にこだわる理由のひとつは、生産者さんと顔が見える関係を築いてきたことにあります。震災後に東京から岩手へ移住し、現地で料理をしていた時期があります。あの時間があったから、今でも「今年の海の状況はどうですか」と直接電話して、現場の声を聞くことができる。
生産者さんから「今年は水温が高めで育ちが早い。だから例年より少し早めに獲り頃を迎えそう」という情報をもらえると、仕入れのタイミングがぐっと精度を増します。逆に「今月は身が薄い時期だから、来月まで待ったほうがいい」と言ってもらえると、それに従う。産地との継続的なつながりがあるからこそ、こういうやり取りができる。
メニューに「三陸産牡蠣」とだけ書いてある場合と、生産者の名前・漁場の場所・今の状態まで把握したうえで提供している場合とでは、お客様の口に入るものの質に差が出ます。大げさに聞こえるかもしれませんが、これが仕入れの裏側の実態です。
✓ ここまでのポイント
- 牡蠣の味は産地名だけでなく、季節・水温・身の状態によって毎年変わる
- 産地の生産者と顔の見える関係を持つことで、仕入れのタイミングと精度が変わる
仕入れのたびに産地・状態を確かめてから使う牡蠣を、実際に食べてみたくなった方もいるはずです。LINEに登録すると、旬のメニュー情報がいち早く届くほか、生牡蠣10個盛りが半額になる登録特典も用意しています。無料で友だち追加するだけで受け取れます。
「今の牡蠣」に合った食べ方を選ぶ理由
仕入れた牡蠣をどう調理するかも、産地名と同じくらい大切な判断です。身が大きくミルキーさが際立つ時期は、生牡蠣でシンプルに出したほうが素材の魅力が伝わる。一方、旨みは出ているけれど身が少しコンパクトな時期は、焼いたり蒸したりすることで凝縮感が増して、むしろ料理として完成度が上がることがある。
私が「牡蠣は生で食べるもの」とも「焼いてこそおいしい」とも断言しないのは、そのためです。その牡蠣のコンディションを見て、一番よい形を選ぶ——これが調理法を選ぶときの基準になっています。
こうした考え方については、牡蠣を生・焼き・蒸しで仕立て分けるシェフのこだわりにも詳しくまとめています。牡蠣の食べ方に迷っている方はぜひ読んでみてください。
11月に入ると、三陸の牡蠣は秋の冷たい海水の中でゆっくりと身を充実させる時期に入ります。この時期の牡蠣は甘みと塩みのバランスがよく、ワインとの相性も上がってくる。個人的に、一年でもっとも好きな牡蠣の季節です。
「おいしい牡蠣の店」を選ぶときに確かめたいこと
東京で牡蠣を食べに行くとき、読者の方にひとつだけ聞いてみてほしいことがあります。それは「その店が、今の牡蠣の状態を把握しているか」という点です。
メニューに産地名は書いてある。でも、なぜ今この産地の牡蠣を使っているのか、今週の牡蠣はどんな状態なのか——スタッフに聞いて答えが返ってくるかどうか。すべての店でそれを求めるのは難しいことも分かっています。ただ、牡蠣を軸に据えた専門性のある店であれば、そこまで答えられるはずだと思っています。
ケラッセ東京では、メニューに出す牡蠣の産地・漁場・状態を、私が直接確認してから仕入れています。お客様から「今日の牡蠣はどこのですか」と聞かれたとき、産地名だけでなく、今の海の状況や食べ方のおすすめまで話せる準備をしています。それが30年のキャリアを持つシェフとして、産地との関係を大切にしながら店を続けてきた意味でもあります。
また、ウニや三陸の鮮魚と組み合わせた季節の10品コース(8,800円)では、牡蠣だけでなく岩手・東北の旬の食材を通した一夜を体験していただけます。牡蠣の仕入れと同じ考え方——「今の素材を、今の状態に合った食べ方で」——がコース全体の軸になっています。三陸牡蠣とほかの牡蠣の違いについてよくある質問もまとめていますので、牡蠣についてもっと知りたい方はあわせてどうぞ。
まとめ|産地名の先にある、本当の「おいしさ」を届けたい
「三陸産だから安心」ではなく、「今の三陸の牡蠣が、今の状態で、一番おいしく届けられるか」を毎回問い続けること。それが私の仕入れの裏側であり、ケラッセ東京が8年間続けてきたことです。
新宿・若松河田のエリアで、産地とのつながりを料理に反映した牡蠣・魚介の食事を探しているなら、ぜひ一度来ていただけたらうれしいです。「今日の牡蠣はどんな状態ですか」と聞いてみてください。ちゃんと答えます。
ご予約・お問い合わせはお電話でも受け付けています。
03-6380-0253(水〜日・祝 15:00〜22:00)
「今の牡蠣がどんな状態か」まで答えられる店で食べてみたい——そう思ったなら、まず席を確保してください。食べログのWEB予約から、空席確認・席予約・コース予約ができます。11月は牡蠣の旨みが増す時期。週末席は埋まりやすいので早めの確認をおすすめします。
