ディナー営業前と後で厨房はどう変わる?魚介レストランの一日に密着

9月に入ると、夏の名残と秋の気配が混ざり合う時期ですね。東京はまだ日中の暑さが続きながらも、夕方になると少しだけ空気が柔らかくなる。ちょうどこのくらいの季節から、「今夜はどこかゆっくり食事しようか」という気持ちが生まれやすいと、お客様の様子を見ていて毎年感じます。

シェフの坂東です。今回は珍しく、ケラッセ東京の「一日」をそのまま書いてみようと思います。厨房の中でいつ何が起きていて、ディナーが始まる前と後でどう変わるのか。料理を食べる側からはなかなか見えない部分ですが、実はここに「ワインも料理もどちらも楽しめる」食事の理由が詰まっています。

こんな方におすすめ

  • ✅ ワインバーでは料理が物足りず、レストランではワインの選び方が分からないと感じている方
  • ✅ 魚介料理とワインを一緒にしっかり楽しめる店を新宿・若松河田で探している方
  • ✅ 料理がどのように準備されているか、厨房の裏側に興味がある方
  • ✅ 記念日や夫婦・友人との食事に、少し特別なディナーを考えている方
  • ✅ 三陸の牡蠣や魚介を、東京でしっかり料理として味わいたい方
ディナー営業前と後で厨房はどう変わる?魚介レストランの一日に密着 | 三陸ワイン食堂 ケラッセ東京

午前中:産地からの連絡と、この日の献立が決まるまで

ケラッセ東京の朝は、スマートフォンの画面から始まります。岩手や宮城の生産者から届くメッセージを確認するのが、まず最初の仕事です。「今日は三陸の鮮魚が上がった」「今週の牡蠣の状態はこんな感じ」。産地のリアルな情報が入ってくることで、その日の料理の方向性が決まってきます。

メニューを固定しないのは、意地ではなく必然です。9月の三陸は、夏の疲れが抜けた海が少しずつ落ち着きを取り戻す時期。牡蠣はこれから秋冬に向けて身が入り始め、鮮魚も夏とは顔ぶれが変わってきます。この変化をそのまま皿に乗せたいと思っているので、前日の夜に決めきれなかったことを、午前中の情報をもとに整理していきます。

「ワインと合わせる」という視点もここで入ってきます。今日の魚介の質感や脂のりを考えながら、どの調理法で出すか、ソースはどうするか。料理が決まれば、自然とそれに寄り添うワインの方向性も見えてくる。ワインを先に決めてから料理に合わせるのではなく、食材から始まってワインに着地するのが、うちの基本的な考え方です。

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午後〜開店直前:仕込みで一日の料理が8割決まる

開店は15時ですが、厨房に入るのはその3〜4時間前です。魚介を扱う店にとって、仕込みの時間は単なる準備ではありません。この時間に何をどこまでやっておくかで、営業中の料理の質がほぼ決まります。

牡蠣は一つひとつ状態を確認します。生で出すものは特に神経を使います。産地の情報と実際に手にしたときの感触が一致しているか。殻の重さ、開けたときの香り、身の張り。これを確認する作業は、慣れても省けません。30年やってきて、むしろ省いてはいけないと強く思うようになりました。

カルパッチョに使う鮮魚は薄く切って並べておく段階まで仕込みます。チョッピーノのベースになるスープは、ここで丁寧に引いておく。パスタのソースも同様です。一見すると「あとでやればいい」と思えることも、営業が始まってお客様が席に座った瞬間から料理を出し続けるためには、事前に整えておく必要があります。

ワインも開店前にセラーを確認します。今日の料理のラインナップと照らし合わせて、冷やし具合を調整したり、抜栓のタイミングを考えたりする。「ワインに詳しくない」というお客様から「これ何を頼めばいいですか?」と聞かれたときに、迷わず答えられるのも、この時間に頭の中を整理しているからです。

✓ ここまでのポイント

  • 産地からの情報をもとに当日の食材を確認し、料理とワインの方向性を同時に考えている
  • 仕込みは「開店後に素早く出す」ためではなく、「料理の質を保つ」ための時間として位置づけている
  • ワインは料理が決まった後に選ぶ。食材から逆算することで自然なペアリングが生まれる

ワインに合わせて料理の順番を組み立てているという話、読んでいただけましたか。どんな料理がどの順番で出るのか、今の季節の内容を事前に知っておきたい場合は、LINEで旬のメニュー情報を確認できます。無料で友だち追加できます。

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営業中:料理とワインが同時に動く厨房の空気

15時の開店直後は、週末であっても最初の30分ほどは比較的穏やかです。この時間帯に来てくださるお客様は、夕方から夜にかけてゆっくり過ごしたいという方が多い。コースで来られることが多く、少し時間をかけて話しながら食べていただけます。

ケラッセ東京では、コースを召し上がる場合でもワインをグラスで合わせていただくことが多いです。「料理に合わせてワインを変えたい」という方には、一品ずつ違うグラスをご提案することもあります。ワインバーでは物足りなかった料理、レストランでは分かりにくかったワインの選択。その両方が同じ席でできるように、というのがうちのスタイルです。

オイスターバーと魚介レストランの違い、そして牡蠣も料理もどちらも楽しめる店の選び方については別の記事でも書いていますが、「生牡蠣を食べられる場所」と「牡蠣を料理として楽しめる場所」は、厨房の中身がまったく違います。うちでは生牡蠣も出しますが、焼き牡蠣・蒸し牡蠣・パスタへの展開まで、同じ食材を複数の顔で出せるように仕込んでいます。

営業のピーク帯は18時から20時ごろ。ここは厨房の中で声の数が増えます。オーダーが重なっても料理の出るタイミングがずれないよう、仕込みの段階で「何分かかる皿か」を頭に入れながら動いています。魚介は特に、火入れのタイミングがずれると質が変わる。ここが一番集中を要する時間帯です。

旬の三陸食材を使った10品コースをご注文のお客様には、序盤・中盤・終盤で料理のリズムが変わるよう構成しています。生の魚介から始まり、火を入れた料理、肉料理、最後は軽めの締め。ワインもその流れに沿って変えられるようにグラスのラインナップを用意しています。魚介がカルパッチョという一皿になるまでの過程を知っていただくと、なぜこの順番で出てくるのかが少し伝わりやすいかもしれません。

営業終了後:翌日に向けて厨房がリセットされるまで

22時の閉店後、最後のお客様をお見送りしてから厨房の後片付けが始まります。魚介を扱う厨房は、清潔さと温度管理が特に重要です。使った道具を洗い、食材の残りを正しく保管し直し、翌日の仕込みに使えるものと使えないものを分ける。この判断は毎日繰り返しています。

後片付けをしながら、その日の営業を振り返ります。料理の出方はどうだったか。お客様の反応で気になったことはあったか。ワインと料理の組み合わせに「もう少し違うものが良かったか」と感じる場面はなかったか。翌日に産地へ連絡することがあれば、メモもこの時間に残します。

「三陸の食材を東京で料理として届ける」というのは、こういう一日の積み重ねの上にあります。生産者が手をかけて育てたものを、料理として最も良い状態でお客様に届ける。そのためには、厨房の中で何時間も地味な作業が続いていることをご存知いただけると、少し嬉しいです。

三陸の牡蠣が仕入れから提供までどう変わるかを追った記事も公開しています。産地側の視点と厨房側の視点を合わせて読んでいただくと、より立体的に伝わると思います。

まとめ:ワインも料理も、どちらも主役の一日

ディナーの1〜2時間を楽しんでいただくために、その何倍もの時間を準備に使っています。産地との連絡から仕込み、営業中の火入れ、終了後の片付けまで、魚介とワインを同じ席で楽しんでいただくための土台がここにある。

「ワインバーでは料理が物足りない、でもレストランでワインの頼み方がよく分からない」という経験は、実は多くの方がされています。ケラッセ東京では、食材から考えてワインに着地する順番で料理を設計しているので、「何を頼めばいいか分からない」という状況を少しでも減らせるよう、席についてからもご相談いただけます。

若松河田駅から徒歩3分、新宿の喧騒から少し離れた場所でゆっくりと。ご予約やご不明な点は、お気軽にお電話でもどうぞ。
📞 03-6380-0253(水〜日・祝日 15:00〜22:00)

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